タイトル：フェロモン香水、効きすぎ注意。
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「……もう、人生変えたいんだよ……」
金曜の夜、原田 真二（44）は独り、スマホ画面に映る広告に見入っていた。
そこには力強いコピーが並ぶ。
> 『男性用フェロモン香水 ウッディの香り』
「香りで落とせ。言葉はいらない。」
原田はIT企業の部長。業務は完璧、成果も一流。
だが、会話は壊滅的だった。
特に女性とのコミュニケーションは、いつも頭が真っ白になる。
（でも、これさえあれば……香水の力で、言葉なんかいらないはずだ！）
そうして彼は、香水にすがるように手を伸ばした。
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---■scene 1：香水の儀式
月曜朝、原田は社内のエレベーターに乗り込む前、トイレで「儀式」を行っていた。
「ワンプッシュ……いや、念のためツープッシュだな」
香りは爽やかな森林系。ちょっと濃いが、“加齢臭”という不名誉なワードから脱却するには、これぐらい必要だと彼は信じていた。
そのままエレベーターへ。乗り合わせた女性社員たちが、ヒソヒソと話す声が耳に入る。
「……なんか今日、匂いキツくない？」
「うーん、芳香剤っぽいような……」
（これが……香水の“効果”！？）
原田はドヤ顔で黙って頷いた。
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■scene 2：原田、攻めに転じる
昼休み。給湯室でコーヒーを淹れていた日野 美穂（44）が、くんっと鼻を動かした。
「……あれ、なんか今日、森林の香り……？」
その瞬間、香りの主が現れる。
「ど、どうも……日野さん」
美穂は驚いた。原田から話しかけられるなんて、何年ぶりだろう。
そして気づく。この香りの主は彼だったのかと。
「……原田さん、香水？」
「……いや、まあ……その……」
「ふーん……」言葉少なに微笑む美穂を見て、原田の妄想がまた暴走する。
（きた！これ、絶対気に入ってるやつだ……！）
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■scene 3：暴走、そして結末
調子に乗った原田は、香水の使用量を徐々に増やし始めた。
1日3プッシュ、次第に5プッシュ──ついにはエレベーターが森林地帯になるレベルに。
そしてついに、総務から呼び出しがかかる。
「原田部長、社内で“スメハラ”の苦情が出ておりまして……」
総務課の職員が厳しい顔で言う中、隣で目を伏せる美穂の姿が見えた。
──香水、やりすぎた。
落ち込む原田に、帰り際、美穂がそっと言った。
「……あの香り、嫌いじゃなかったけどね。ちょっとだけ、だけど」
その一言が、彼の心にじんわりと染みた。
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■ラスト：モテの第一歩
次の日から、原田はワンプッシュだけの男になった。
香水も、言葉も、少しずつ。
「好かれたい」と思う気持ちが、少しずつ、彼を“会話できる人”へと変えていった。
もしかしたら恋は、香りではなく、気配りから始まるのかもしれない──。
---🪄登場アイテム
男性用フェロモン香水 ウッディの香り
森林のようなウッディノートが香る、男らしさを演出するフェロモン香水。
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